中日ドラフト2026総評――捕手2人と外野補強、派手さより必要な戦力

渡部海のくじを外した瞬間はやっぱり痛かった。捕手を最優先で取りにいったドラフトで、その中心に据えた選手を逃したのだから、そこは素直に残念だったと思う。
それでも終わってみれば大学生の即戦力投手、社会人外野手、大学生と社会人の捕手、高校生の右腕と左腕。支配下6人の顔ぶれを中日の選手層に重ねると、指名の意図はかなり読み取りやすい。
派手な大成功を狙うより、いま空いている穴を確実に埋めにいった。 2026年の中日ドラフトにはそんな印象を受けた。
⚾ 指名一覧
| 順位 | 選手 | 所属 | 守備位置 | 投打 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 宮原廉 | 近畿大 | 投手 | 右投右打 |
| 2位 | 柴﨑聖人 | 王子 | 外野手 | 右投左打 |
| 3位 | 前嶋藍 | 亜細亜大 | 捕手 | 右投右打 |
| 4位 | 鈴木悠悟 | 中京高 | 投手 | 右投右打 |
| 5位 | 西田櫂吏 | 京都国際高 | 投手 | 左投左打 |
| 6位 | 清水智裕 | ヤマハ | 捕手 | 右投右打 |
| 育成1位 | 内藤崚 | 上田西高 | 投手 | 右投左打 |
| 育成2位 | 中西佳虎 | 大阪桐蔭高 | 外野手 | 右投両打 |
1巡目は青山学院大の捕手・渡部海に入札して抽選に敗れ、再入札でロッテと競合した宮原の交渉権を獲得した。表はNPBの指名結果によるもので、現時点では入団決定ではなく交渉権の獲得だ。
ドラフト1位で大卒投手、ドラフト2位で社会人外野手、ドラフト3位で大卒捕手。
この上位指名には中日のチーム事情が大きく関わっていると言えるだろう。
🧤 捕手の選手層
捕手を2人も取る必要があったのか。まずここは、人数だけで見ると事情をつかみにくい。
ドラフト前の捕手陣をNPBの選手名簿と育成選手の異動公示で整理すると、支配下が6人、育成が1人となる。
| 選手 | 区分 | 10月22日時点の年齢 |
|---|---|---|
| 木下拓哉 | 支配下 | 34歳 |
| 加藤匠馬 | 支配下 | 34歳 |
| 宇佐見真吾 | 支配下 | 33歳 |
| 石伊雄太 | 支配下 | 26歳 |
| 石橋康太 | 支配下 | 25歳 |
| 味谷大誠 | 支配下 | 23歳 |
| 山浅龍之介 | 育成 | 22歳 |
木下は1991年12月生まれ、加藤は1992年4月生まれ。いまはともに34歳だが、学年では木下が一つ上になる。
正捕手として石伊がいることは大きい。今季は112試合に出場して打率.264、7本塁打。正捕手として計算したい存在になった一方で、その次を誰が担うのかという問題は残る。
木下と加藤は経験を持つが、2人とも30代半ばに入る。木下は今季27試合、加藤は35試合で、加藤の打率は.147だった。終盤の守備や緊急時の備えを任せたいベテランと、石伊を休ませながら一定数の先発出場を担う第二捕手では、求める役割が違う。
加藤の肩を生かす起用、木下の打撃と経験を頼る起用はあっていい。ただ、この2人を頼り続ければ、第二捕手の世代交代まで自然に進むわけではない。
宇佐見は今季の一軍出場がなく、石橋も4試合にとどまった。2人は打撃面で評価されている一方で、守備については不安視されている。宇佐見は立浪監督時代から捕手だけでなく、1塁手として打撃を活かす起用もあった。石橋は盗塁阻止率の課題が大きく、打撃を活かすためのコンバートの案も浮上していた。編成上の問題は、石伊に続いて一軍の捕手枠を安定して担う若手が、まだ定着していないことだと考える。
7月には育成捕手の日渡騰輝を日本ハムへ送り、宮内春輝を迎えるトレードもあった。日渡は中日在籍時の今季ファームで28試合、打率.269、1本塁打。打撃に期待できる若手捕手を出した分、将来を見据えた人数にも余裕があるとは言いにくい。
「捕手が7人いるから足りる」ではない。一軍の主戦、第二捕手、緊急時の控え、二軍で経験を積ませる選手を同時にそろえる必要がある。そのうえで年齢構成を考えれば、大卒・社会人の捕手を補強した理由はよく分かる。
外野の布陣
昨年の外野を思い出すと、レフト細川、センター岡林、ライト上林、控えにブライトという並びは走攻守隙が無く強力な布陣を形成していた。岡林は2025年に143試合、打率.291。上林も134試合で打率.270、17本塁打、27盗塁を記録している。
ところが今季は、同じ顔ぶれが同じように働くシーズンにはならなかった。
| 選手 | 2025年の一軍成績 | 2026年の一軍成績 |
|---|---|---|
| 岡林勇希 | 143試合・打率.291 | 90試合・打率.231 |
| 上林誠知 | 134試合・17本塁打 | 25試合・2本塁打 |
| 細川成也 | 108試合・20本塁打 | 143試合・25本塁打 |
岡林には巻き返してほしいし、上林にも万全で戻ってきてほしい。ただ、昨年の数字をそのまま来季の計算に置くことはできない。
上林は故障による出遅れから今季の出場は限られた。復帰後は1軍に帯同してFA権も取得しており、報道では推定Cランクとされる。ソフトバンク時代に監督を務めていた工藤監督の就任もあり、行使に至るかは不明瞭だが、人的補償を伴わない選手なら他球団が関心を持っても不思議ではない。残留が決まる前から、来季も当然いるものとして編成するわけにはいかないだろう。
さらに、ブライトは10月15日に現役引退を発表した。本人はうつ病と診断されて休養していたことも公表している。まずは今後を穏やかに過ごしてほしい。そのうえで戦力の話をすれば、昨年まで期待した外野の一角が抜けたことになる。
細川は今季全143試合に出場し、25本塁打、71打点。打線の柱であることは変わらない。一方、2027年からはセ・リーグにもDHが導入される。新加入のライアン・ウォード、サノーらとの起用を考えれば、細川がDHに入る試合を設ける選択肢もある。
花田旭は新人ながら47試合に出場し、4本塁打。来季の飛躍を楽しみにしたいが、2年目から年間のレギュラーを確実に任せられるとまでは言えない。
福元悠真にも期待がある。今季のファームは68試合で打率.283、3本塁打、26打点。一軍でも21試合、36打数11安打の打率.306を残した。肩の不安と向き合いながら支配下へ戻った経緯もあり、打席が増えた先を見たい選手だ。ただ、一軍で年間を通して守り、打つ実績はこれから。2027年の開幕は27歳で迎えるため、若手の成長待ちというより、いよいよ外野の枠を取りたい時期でもある。
期待できる選手がいることと、補強しなくてよいことは別だ。 柴﨑を加えて競争を作る必要は、十分にあった。
① 宮原廉
みやはら・れん/広島県出身/崇徳高―近畿大/右投右打・投手
最速156キロと報じられる直球を軸に、スライダーや落ちる球を組み合わせる大学生右腕。2026年春の関西学生リーグでは8登板、4勝2敗、47回2/3を投げて48奪三振、防御率1.51。2025年秋、2026年春と2季続けてベストナインに選ばれ、2026年の大学日本代表にも入った。
まず楽しみなのは、大学に入ってから伸ばしてきた球の強さだ。TBSの取材では高校時代の最速は142キロとされており、現在の156キロまで大きく伸ばしている。本人も直球の球質を武器とし、山本由伸や松井裕樹の投球を参考にしながら、トレーニングや投球の計測に取り組んでいるという。すでに速い球を持つうえに、大学4年間でそこまで伸びた過程にも期待したくなる。
他球団のスカウトから見ても、魅力はその出力にある。10月2日の関大戦を取材した日刊スポーツでは、巨人の岸敬祐スカウトが、春からさらに球速を伸ばした点や体の強さを評価。沢村拓一を例に、先発から救援まで幅広い役割を担える可能性に触れていた。フォームや完成度が同じという話ではないが、プロの視点でも速球を軸にした力強い投球が評価されていたことは心強い。
一方で、速い真っすぐだけで押す投手として見るのも少し違う。10月6日の関大戦では5回から救援し、5イニングを3安打1失点、7奪三振。本人は変化球でカウントを取れた点に手応えを示した。直球の威力を生かしながら、変化球でストライクを取り、打者を追い込めるか。 プロで長い回を任せるなら、球速の数字と同じくらい見たい部分だ。
指名後の球団の説明も興味深い。日刊スポーツの一問一答で、荒木雅博本部長補佐は速球を高く評価する一方、変化球には成長の余地があり、完成された投手として獲得したわけではないという見方を示している。中継ぎの補強というチーム事情にも触れたが、宮原の起用法はまだ決まっていないと説明した。1年目の戦力入りを期待できる球を持ちながら、さらに育てる部分もある1位指名と受け止めたい。
もちろん、課題もある。ドラフト前日の10月21日の関学大戦では、九回に3者連続四球を出して降板した。球速が出ていても、必要な場面でストライクを取れなければ苦しくなる。一試合だけで将来を決めつける必要はないが、走者を置いた場面や登板終盤でも投球を崩さないことは、プロで結果を残すための宿題になる。
そこを修正していく力にも注目したい。週刊ベースボールの取材では、春のリーグ戦で勝負どころの変化球が浮いたことを本人が課題に挙げていた。結果だけでなく、どの場面で何が足りなかったかを振り返っている。大学での成功体験をそのまま持ち込むだけでなく、プロの打者に通用しなかった時に、投球をどう組み直せるかを見たい。
本人は指名後、黒田博樹のような先発投手を目標にし、工藤新監督やチームの投手から学びたいと話している。まずは日本で活躍し、その先には海外も見据えるという大きな目標も掲げた。中日としては、来季の穴を埋めるだけで終わらず、数年後には投手陣の中心にいてほしい選手だ。高い目標を持つ右腕が、ドラゴンズでどんな投手へ育つのか。その楽しみは十分にある。
✔ 中日としてのドラフト戦略
渡部を逃した後に次の補強ポイントである投手へ切り替えた形だ。捕手を何が何でも1位でという指名にはせず、上位評価の大学生投手を確保した。
結果として中日は捕手の補充を後の順位に残し、宮原で一軍投手陣の底上げを狙った。この切り替えは妥当であったと言える。
宮原には先発としての期待が大きい。涌井・大野はベテランに差し掛かり、先発陣にも余裕があるとはいい難い事情もある。大野・柳・高橋・金丸・(マラー) についで、中西や櫻井らと競って先発争いに食い込んでくると面白い。
春は8登板のうち7試合が先発で、長い回を担う実績もある。大学で救援登板もしているが、だからすぐにプロのセットアッパーを任せられると考えるのは早い。まずはプロの打者を相手に、直球と変化球をどこまで生かせるかを見たい。
② 柴﨑聖人
しばさき・まさと/兵庫県伊丹市出身/岐阜第一高―大阪経済大―王子/右投左打・外野手
王子の公式紹介では、走攻守を備えた外野手とされる24歳。岐阜新聞は50メートル5秒9の足と長打力を紹介している。2025年の都市対抗で王子の優勝に貢献し、若獅子賞を受賞した。中堅を任せる候補として、来季の外野争いに加わってほしい選手だ。
大学時代から安打を積み重ねてきた選手でもある。大阪経済大では2024年秋にリーグ通算100安打を達成し、関西六大学野球連盟では史上15人目となった。王子で急に名前が出てきた選手ではなく、大学から打撃で結果を残し、社会人でも全国大会の優勝を経験してきた。
2025年の都市対抗では5試合で打率.333、2本塁打。足を生かすだけでなく、長打で試合を動かせるところが楽しみだ。2026年の都市対抗でも、三菱自動車岡崎との2回戦に3番・右翼で先発し、4打数2安打2打点、1本塁打。王子の公式発信でも、その活躍が紹介されている。新人年だけの一度きりの好成績ではなく、翌年の大舞台でも一発を放った点は評価したい。
指名前の評価を見ても、週刊ベースボールの7月の特集では社会人野手の中で高く評価され、スカウトが足と肩を買う即戦力外野手として紹介されていた。西尾典文氏の現地取材でも、強く振れる打撃に加え、打球への移動の速さや低く正確な送球が評価されている。打つだけでなく、守備と走塁でも出番をつかめる可能性がある。 中日の外野を考えるうえでは、この幅が大きい。
ただし、社会人出身だから最初から打撃が完成している、とまでは見ない方がよさそうだ。西尾氏は春先の打撃のタイミングに課題を挙げ、高校野球ドットコムの指名直前の座談会でも、長打の魅力とともに好不調の大きさが指摘されていた。プロの投手に対して、良い状態の打撃をどれだけ継続できるか。ここは入団後に見ていきたい部分になる。
中日で期待するのは、まず外野の控えに収まることより、既存の選手から先発の座を奪いにいくことだ。岡林の巻き返しや上林の復調を待つだけではなく、柴﨑自身が競争に加わる。花田や福元とも出場機会を争い、長打が欲しい日に起用したくなる選手になってくれれば、外野の選択肢はかなり広がる。
24歳の社会人野手を2位で取った以上、何年も先の成長だけを待つ指名ではないだろう。一方で、最初から年間のレギュラーを約束する必要もない。足と肩を生かして一軍の出番をつかみ、打撃でその出番を増やす。即戦力としての期待と、打てる外野手へ伸びる楽しみを両方持てる選手として、柴﨑の加入を見たい。
⏳ 2位と3位の間
ここで気になるのが、「捕手が最優先なら、2位で捕手ではなかったのか」という点だ。
今年の中日は、2巡目が12球団中2番目、3巡目は11番目。全体では14番目から35番目まで、一気に間が空く。中日の2位と3位の間には、他球団の指名が20件入る。
これは「次の番でも残っているだろう」が通用しにくい並びだ。2位で捕手を取れば、次の外野手は20人の指名を待ってからになる。逆に外野手を取れば、捕手が先に消えるリスクを負う。
CBCの事前取材では、西尾氏は柴﨑を3位候補に挙げながら、中日の指名が全体35番目になるため、そこまで残っていない可能性を指摘していた。また、渡部を逃した場合の捕手候補として、浦和学院高の内藤蒼や立教大の落合智哉にも触れている。捕手の候補が渡部一人だったわけではないが、同じ年齢、同じ完成度の選手が何人もいるわけでもない。
大学日本代表で渡部、前嶋とともに捕手に名を連ねた西野啓也は、実際には広島が2位で指名した。上位の捕手が動く中で、中日は先に柴﨑を押さえ、3位で前嶋を確保したことになる。
結果を知った後なら「逆でも取れたのでは」と考えたくなる。ただ、柴﨑を3位まで待てたかは分からない。前嶋が残ったから捕手を軽く見たとも言えない。長い待ち時間の前に外野を確保し、その後に捕手を取れたという結果は、チームの必要性に沿って評価したい。
③ 前嶋藍
まえじま・らん/神奈川県出身/横浜隼人高―亜細亜大/右投右打・捕手
2025年の日米大学野球、2026年のワールドカレッジベースボールの大学日本代表に選出された捕手。週刊ベースボールの紹介では強肩やリーダーシップが評価され、本人も侍ジャパンの公式プロフィールで投手との意思疎通やブロッキングを強みに挙げている。
石伊と一軍のマスクを争いながら、第二捕手の層も厚くする。前嶋に期待したいのは、まずその役割だ。
もちろん、大卒だから即座に一軍の捕手として完成しているわけではない。プロの球を受け、投手陣の特徴を覚え、打席でも結果を出す必要がある。それでも、高校生を時間をかけて育てる指名とは、来季へ向けた距離感が違う。
石伊一人に負担を寄せたくない。ベテランの経験も使いながら、その次の世代を一軍に近づけたい。その課題に対して、3位で前嶋を取れたのは大きい。
④ 鈴木悠悟
すずき・ゆうご/滋賀県彦根市出身/大津瀬田ボーイズ―中京高/右投右打・投手
2026年夏の甲子園出場に貢献した右腕。最速148キロの直球に、スライダーやスプリットを交える。高校野球ドットコムの紹介では、夏の岐阜大会で23イニングを投げ、28奪三振を記録した。遊撃手としての経験や打撃も注目されてきたが、NPBの指名発表は投手となっている。
宮原に来季の一軍争いを期待する一方、鈴木は数年先の投手陣を担ってほしい指名だ。
単に球速の数字だけを買うのではなく、変化球で空振りを取る力や、投打にわたる野球のセンスにも伸びしろを感じる。高校時代に打てたから野手転向、甲子園に出たから早く一軍へ、という話にはしたくない。投手として指名した以上、まずは体を作りながら、プロで生きる球を磨いてほしい。
⑤ 西田櫂吏
にしだ・かいり/兵庫県出身/関メディベースボール学院―京都国際高/左投左打・投手
ベースボールチャンネルは、最速145キロの直球と切れのあるスライダーを持つ実戦派左腕と紹介している。カーブ、チェンジアップも使い、力任せに押すだけではない投球が持ち味。今夏は京都大会準々決勝まで進んだ。
4位の鈴木が右腕、5位の西田が左腕。上位で現在の穴を埋めながら、下位で将来の投手陣へ投資する形になった。
この2人を来季のリリーフ不足の解決策として数えるのは違うだろう。高校生投手には、フォームの再現性、体力、変化球の精度を高める時間が必要だ。逆に、目先の事情だけで高校生投手を取らないドラフトを続ければ、数年後にもまた同じ世代の穴ができる。ここで右と左を1人ずつ加えたことには意味がある。
⑥ 清水智裕
しみず・ともひろ/愛知県出身/大垣日大高―中部大―ヤマハ/右投右打・捕手
ヤマハの公式名鑑では181センチ、95キロの捕手。日刊スポーツによると、今秋の日本選手権東海地区予選では4番を打ち、6試合で打率.478、2本塁打を記録した。捕手の人数をそろえるためだけの指名と見るには惜しい、打撃に特徴のある選手だ。
前嶋を取った後にさらに社会人捕手。ここには、二軍で育てる捕手だけでなく、比較的早い時期に一軍の控えを争える選手を増やしたい意図を感じる。
木下と加藤の経験は頼りになる。ただ、ベテランを第三捕手として置くのなら、石伊の次に先発マスクをかぶる選手は別に欲しい。前嶋と清水のどちらか一人にすぐ第二捕手を約束するのではなく、2人とも既存の捕手陣と競わせる形になりそうだ。
清水の場合は、打てる捕手としての可能性も楽しみたい。ベンチで待つだけの役割に決めてしまわず、打撃がプロでも通用するなら先発出場を増やしてほしい。守備面を含めて評価が固まるのはこれからだが、捕手2人の指名は「重複」ではなく、どちらもチームに必要とされている適切な指名だったと言えるだろう。
🌱 育成の2人
内藤崚
ないとう・りょう/長野県白馬村出身/上田西高/右投左打・投手
ベースボールチャンネルは、3年春に最速150キロを記録した右腕として紹介している。2026年春は上田西の北信越大会出場を支え、6月の星稜戦では先発して7回1失点。球威のある直球を、プロで継続して投げられる体力と技術へつなげたい。育成からじっくり成長を待つ指名だ。
中西佳虎
なかにし・けいと/京都・勝山中、京都ヤング出身/大阪桐蔭高/右投両打・外野手
今春のセンバツでは全5試合に「2番・中堅」で先発。一球速報の大会別成績では15打数4安打、3打点、3盗塁だった。両打ちと中堅での経験は、柴﨑とは異なる時間軸で外野の選手層を厚くする材料になる。まずは出塁と走塁、外野守備の持ち味を磨き、一軍で使いたくなる特徴を伸ばしてほしい。
🔥 リリーフの課題
ここまでの指名はチーム事情に合致した戦略と言えるだろう。そのうえで、欲を言えば即戦力の中継ぎをもう1人取りたかった。
今季の開幕戦は、4点リードの9回に登板したアブレウが4失点。最終的に延長で広島に5―6のサヨナラ負けを喫した。シーズン最初の試合から勝ち切る難しさを突きつけられた。
9月26日には球団史上最多のシーズン40度目の逆転負けを喫した。ただし、これは先にリードした試合を落とした回数であり、40試合すべてをリリーフが壊した、という数字ではない。 先発が逆転された試合や、追加点を取れなかった試合も含む。それでも、終盤の継投を安心して見られる陣容を増やしたい気持ちは強い。
まず、抑えの松山晋也は外せない。今季は31セーブ、防御率1.70。問題は松山までどうつなぐかだ。
| 投手 | 2026年の登板 | ホールド/セーブ | 防御率 |
|---|---|---|---|
| 松山晋也 | 45試合 | 4H/31S | 1.70 |
| 吉田聖弥 | 52試合 | 27H/0S | 2.44 |
| 齋藤綱記 | 53試合 | 13H/0S | 2.93 |
| 橋本侑樹 | 45試合 | 18H/0S | 4.58 |
| 藤嶋健人 | 45試合 | 7H/0S | 3.86 |
吉田が52登板、27ホールドまで伸びたのは大きな収穫だった。齋藤も53試合に登板し、来季も頼りたい左腕だ。
一方、橋本は18ホールドを挙げながら防御率4.58。藤嶋も、2025年の60登板、23ホールド、防御率3.25から、今季は45登板、7ホールド、防御率3.86となった。これまでの貢献を軽く見るつもりはないが、全員が昨年以上に働く前提で勝ち継投を組むのは楽観的だろう。
清水達也の扱いも変わる。腰の不安で出遅れた後、先発へ再転向して実戦登板を重ね、10月8日のフェニックス・リーグでは8回無失点、109球を投げた。先発としての成功は楽しみだが、以前のように八回を任せる構想へそのまま戻して数えることはできない。
─── もちろん、新たな候補がいないわけではない。
草加勝は今季24登板、防御率2.59。森博人は15登板、13イニングで自責点ゼロ、20奪三振を記録した。ここは「復帰できるか分からない投手」と一括りにする段階を過ぎており、すでに一軍で好材料を示している。
新加入組も、杉浦稔大が18登板、防御率3.57。牧野憲伸が23登板、防御率4.15。宮内春輝は3登板、3イニングを無失点だった。特に杉浦には他球団での一軍経験もあり、来季も一軍のリリーフとしてある程度計算を立てられる戦力だろう。
ただ、今季の限られた登板で残した好成績と、来季の接戦で年間を通して任せられることにはまだ距離がある。期待したい名前は並ぶが、故障や不調が出たときの交代要員まで十分かと考えると、もう1人、大学・社会人から救援向きの投手が加われば安心感はあった。
宮原が投手陣を底上げしてくれる可能性はある。先発が長く投げれば、結果的にリリーフも助かる。それでも、宮原一人を先発にも中継ぎにも都合よく数えることはできない。今回のドラフトで残った補強課題は、トレード、外国人補強、既存投手の成長などで埋めていく必要がある。
📝 総評
選手の知名度やドラフト前の評判だけを並べると、もっと華やかに見える球団はあるだろう。渡部の抽選を外したことも含め、手放しで満点をつけたくなる指名ではなかった。
個人的には、今後メディアで60~70点程度の評価が並んでも驚かない。ただし、それは現時点で確認した採点ではなく、あくまで指名当日の予想だ。
一方、ドラゴンズの編成として見るなら、評価したい部分は多い。
捕手は大学生と社会人を1人ずつ加え、石伊の次と、その先の世代を用意した。外野は中堅も争える柴﨑を確保。1位には一軍を目指す大学生投手を置き、4位・5位では高校生の右腕と左腕に将来を託した。育成でも投手と外野手を補っている。
「もっと上の順位にふさわしい選手がいたのでは」という見方と、「次の指名まで待ったら必要な選手を取れない」という事情は、同時に存在する。特に2位と3位の間が遠い今年は、他球団の評価を当てにして待つより、必要な選手を先に押さえる選択にも納得できる。
守りに入った、無難なドラフト。そう表現すると物足りなく聞こえるかもしれないが、中日にとっては、その無難さが必要だったのではないか。
リリーフの宿題は残った。それでも、捕手と外野の薄さを来年へ持ち越さず、必要な場所に手を打ったことは評価したい。あとは、新しく加わる選手が既存の選手を押しのけるくらいの競争を作れるか。指名当日の点数より、まずはその姿を楽しみにしたい。
📚 参考資料
指名結果・年齢・成績は2026年10月22日に確認。来季の役割、指名意図、戦力評価は本記事の考察です。
